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小野 哲人TETSUNDO ONO

柔軟かつ盤石なM&A戦略で、
感動体験創出業の日本一を目指す。

株式会社 小野写真館 代表取締役社長

プロフィール

経歴 青山学院大学卒業後、外資系金融に勤務。その後、アメリカカリフォルニア州のBrooks Institute of Photographyに1年半在籍し、写真の基礎と技術を学ぶ。Lower Division Award受賞。2005年帰国し、2006年アンシャンテを立ち上げ、多角化展開をスタート。2010年代表取締役社長。座右の銘は「Stay hungry, Stay foolish」

→ 社長note
→ 小野 哲人 Twitter
→ ビズリーチ・サクシード様HPにてM&A経営のインタビューが掲載されました。

1. 想いと人の継承

想いと従業員を尊重して引き継ぐ、小野写真館流M&Aのスタイル

値段以外が決め手になった二つのM&A

小野写真館のM&Aに際しての戦略はいくつかあります。仲介サイトを活用し、1000万円以上の経費をかけて取り組んでいる。自社サイトを通じても直接そういった話が来るぐらい。今回、自社のコーポレートサイトでお伝えする背景には、M&Aに対し「我々はこう考えています」、「逆にこういった案件を募集しています」など具体的に細かく示したいという想いがあります。

現実的に2回のM&Aで共通しているのは、提示額が最高値でないにも関わらず弊社に売却してくれたこと。『BABY365』は10社ほど手が挙がっている中、もっと高い金額を提示した会社ではなく、敢えて小野写真館を選んでくださいました。『桐のかほり 咲楽』も2年ほどの交流の後に最高値ではない弊社を選択。考えられる理由としては、我々が想いに共鳴してアプローチしていることが大きいのではないでしょうか。社員も引き継ぎますし、名前も変えていない。事業も大幅にいじることはありませんし。根幹と言えるオーナーの創ってきた世界観を大事にしながら、小野写真館の事業を掛け合わせて新しいものを創る。大元の部分を変に変えたり、否定することは絶対にしません。

事業を壊さず膨らますことに尽力

『咲楽』は、今までの事業をきちんと運営する軸と、弊社の力を掛け合わせて新たな事業を創るという二つの軸。ですから後継者のいない前オーナーに受け入れて頂いた部分があります。それまで働いてくださっていた従業員に関しても、「そのまま働きたい」と希望する方は全て雇用するのが大前提です。買収した途端に今までの人を切ることは絶対に有り得ません。想いも人も踏みにじることなく、事業を壊さないで膨らますのが小野写真館のM&Aです。

M&Aは、それまでの経営者が辞めるだけじゃなく、続けるパターンもある。それも僕は全然有りだと思ってます。要はオーナーがM&Aにあたってどうしたいか。オーナーが完全に売却して辞めたかったのが『BABY365』でしたし、『咲楽』に関しては継承者がいない事情がありました。仮にオーナー自身が社長として残りたいだとか、ナンバー2だった人間に任せたいなどの希望があれば、そこはできる限り尊重したいと考えます。希望があれば、僕が買収した会社の社長になったり、小野写真館から人を送り込んで社長をさせる必要は何もない訳です。そこにこだわりは全くありません。むしろ経験のある人に社長をやってもらった方がいいと思います。

既存の従業員は残って頂きたい存在

想いを引き継ぐ。従業員を引き継ぐ。柔軟に相手方の「こうしたい」の気持ちをしっかりと汲み取ることで安堵してもらうことは本当に大事だと思っています。オーナーであれば、売却した後の自身の人生もそうですが、従業員の人生も考えるのが当然です。上場企業のようにずっと続いていく組織ならいいけれど、やはり中小企業にはその出口がない。仮に会社が満足できる金額で売れても、それまで一生懸命に働いてくれた従業員の働く場所がなくなってしまうのでは、オーナーも売却に二の足を踏んでします。そこは凄く重要だと思っていて。逆に弊社からすると、その会社で想いを持って頑張ってきたスタッフの存在は絶対的に必要だし、人材としても喉から手が出るほど欲しい。それまでの従業員を「雇ってあげる」ではなく「ぜひ雇用させて頂きたい」という感覚です。

『咲楽』の時も結果として全員に残って頂くことができました。後から聞きましたが、当初はパートさんたちもご高齢の方が多く「オーナー夫妻が辞めるなら、私たちもこの機会に辞めようか」と話していたそうです。もしかしたら誰も残らない可能性がありました。その話を聞き、僕から一人ひとりと話をさせてもらい、皆さんに引き続き働いて頂けることに。率直に皆さんはお金が第一の目的で働いてる感じではなかった。働くやりがいや、オーナー夫妻を慕っているから頑張っている。そう僕には見えました。オーナー夫妻は正式な引き継ぎ後も、ずっと我々のことを気にかけてくださっている。経営そのものからは離れましたが、頼もしいご近所さんとして家族のように接してくれています。本当に嬉しいし、ありがたいです。そういった面でも、『咲楽』のM&Aには、様々な意義や意味合いがあったと実感しています。