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社長メッセージ【ビジネス哲学の壱 展望の章】

小野 哲人TETSUNDO ONO

地方都市で始まった異色の写真館の挑戦。
写真と写真から派生するビジネスで世界を変える。

株式会社 小野写真館 代表取締役社長

プロフィール

経歴 青山学院大学卒業後、外資系金融に勤務。その後、アメリカカリフォルニア州のBrooks Institute of Photographyに1年半在籍し、写真の基礎と技術を学ぶ。Lower Division Award受賞。2005年帰国し、2006年アンシャンテを立ち上げ、多角化展開をスタート。2010年代表取締役社長。座右の銘は「Stay hungry, Stay foolish」

→ 社長note
→ 小野 哲人 Twitter
→社長メッセージ【ビジネス哲学の弐】2020年

茨城・都心・世界で実現し続けていく、小野写真館グループならではの新しいビジネスモデル

悲願のウェディングレストランを続け様にオープン!

2015年、小野写真館グループの展望からお願いします

今年はアンシャンテの敷地内に、ウェディングレストランをオープンします。ひたちなか市の『アレーズ』と、つくば市の『バウム』。我々にとって肝入りの新規事業です。ようやくですね。8年前のアンシャンテ立ち上げから、悲願だった自分たちのウェディングレストラン実現が、いよいよ叶う瞬間。その時がきた、という感覚です。

従来のウェディングレストランとの違いは?

これまでの結婚式で多かった80名~100名の大きなバンケットというよりは、30名~60名をターゲットとした少人数結婚式対応のレストランになります。この規模がこれから増えていくため、そこを明確なターゲットに、我々が新しいビジネスモデルをつくり、茨城県全域でこれから一気に攻勢をかけていく。

その意味で、何が何でも成功させ、小野写真館グループの一つの柱にしたい。弊社としては社運をかけた大きな投資と言っても過言ではない。2015年、最も力を入れていく新事業です。

『アレーズ』と『バウム』が誕生した理由は?

アンシャンテの立ち上げに起因します。我々は写真館ですから、ブライダルフォトのサービスを中心に始めましたが、やはりブライダル業界というのは結婚式場を頂点に、僕たちのような写真館や衣装屋が下請けになる産業。衣装・美容・写真などはどうしても頂点である結婚式場にマージンを支払うビジネスモデルなんです。

それだと結婚式に付帯するサービスの我々は、いつまで経っても下請けのままで終わってしまう。それが一番の問題と言っていい。いつか僕たちが川上に立って、結婚式を運営する側にまわるんだという気持ちが、最大の背景としてあります。

ビジネスの川上に立つことで割高なマージンを不要に

お客様である利用者側から見ると?

基本的に一般的な日本式の結婚式はお客様が結婚式に払う総費用の内、かなりの割合をマージンが占めている。例えば、結婚式場で借りるドレスのレンタル料が20万円だとしましょう。その中の10万円が式場のマージン。写真も花も引出物も全て同様のモデルです。

このままだと、今後どういう状況が予測されますか?

現在の結婚式離れにますます拍車がかかるでしょうね、このままでは。「大げさで面倒くさい」や「多くのお金をかけたくない」といった理由で、戸籍上の結婚そのものはするけれど、結婚式までは挙げないという人たちが増えています。こんな時代ですからコストの問題は当事者にとって死活問題。
我々は元々、写真館から始まった組織グループで衣装と美容を内製化していますから、結婚式場を運営することで大幅なトータルコストダウンを叶えられます。

コストダウンの意味合いとは?

もちろん単なる安売りではなく、ビジネスモデルとして結婚式の費用を適正価格にするということ。今まで程、高いお金を払わなくても結婚式ができるようにしたい。その想いがありますね。当然、安かろう悪かろうのサービスでは意味がない。我々は、衣装、美容、写真を真面目に一つひとつ取り組んできた会社です。その僕たちが新しくウェディングレストランを運営する。

結婚式の中でも特に費用のかかる衣装と美容と写真も全て自社による内製化で、さらに食べ物飲み物の提供も加えた全てを自社運営することで、これまでの常識だったマージンを発生させない。結果、高いクオリティーの商品をリーズナブルな価格で提供することができる。これが新しいビジネスモデルとなる新事業の狙いです。

他の意味での狙いは?

どうしても今の世の中、昔のように大勢を結婚式に呼ぼうとする人が少なくなりました。また、再婚される方も増え、「自分たちにとって本当に大事な人だけを呼び、シンプルに結婚式を挙げたい」という需要が増えてきたと感じます。それらの背景を鑑みても、今後は少人数の結婚式が増えていくのは間違いない。ウェディングレストランの新たな事業を今回つくば市とひたちなか市でスタートさせ、これをモデル化して一気に茨城県で展開する。ウェディングレストランというマーケットでトップシェアを取ることも大きな狙いと言えますね。

東南アジアに素晴らしいサービスを輸出したい

茨城県外で考えている展望は?

もちろんあります。弊社は現在、茨城で10店舗が存在。ブライダル事業と、Azという成人式のブランド、写真館事業として本社の小野写真館がある。それとココアが3店舗。これからどうやって企業成長していくかと言えば、茨城県内での事業拡大も続きますが、今後の展開として都心部方面へ出て行くという考えが一つ。さらにもう一つは、今まさに僕自身が動いていることですけれど、本格的に東南アジアに進出し、そちらのマーケットで大きく勝負したい。これが僕の現在の考えです。

東南アジア!?それはなぜ?

今の日本の人口動態を見ると平均年齢が47歳。2030年には60歳以上が三分の一を占めてしまう。そうなった時、どうやっても日本で企業成長していくのは難しい。

では、どこで飛躍的に業績を伸ばしていくか?これから東南アジアで人口爆発が起きてくる意味を考えると、僕はこの素晴らしい日本のサービス業の部分を、東南アジアに輸出することで、即、そこで伸びていくことにチャレンジしたい。

日本企業の多くが進出するのとは意味合いは異なる?

はい。日本企業が東南アジアに進出しているケースのほとんどは製造業の会社が人件費を下げて安く商品をつくるため。そういう意味の進出が一般的。ただ、今では人件費もどんどん上がっている。僕が個人的に思うのは、それこそ今後、東南アジアは爆発的な人口増加と共に内需が拡大して、中流階級の人が増えていくでしょう。我々が目指すのは、その人たちに向けてのサービス業。それが一番のチャンスだと確信しています。だからこそ東南アジアで大きくチャレンジしていきたい。

その考えはいつ頃から?

昔から将来的にアジアで商売したいというのは胸にありました。ビジネスをスタートした段階から「どこかのタイミングで一旗揚げるんだ」と思っていました。ただ、具体的に詰めてはおらず、ぼんやりした展望に過ぎない。具体的に考えたのは去年の2014年ですね。

いろいろなきっかけがありましたが、4月にベトナムへ行く機会があったんです。実際、現地に降り立ち、「僕はこの東南アジアの地でビジネスをやるべきだ」と思うところあって。さらに、いろいろな縁が繋がったことで、今は最適な道筋を模索している段階です。

都心部・東京を目指すいくつかの理由

一方で日本国内の都心部にもアンテナが向いている。その理由は?

いろいろな観点がそこにはありますね。先程、話した東南アジアへ進出するためにも足がかりとして必須ですし。やはり東京という都市は世界のトップブランド。都心に出て小野写真館グループの各ブランドの価値を高め、それからアジア全域で展開したいというのが一つ。次に、茨城県で事業を展開している我々の力が、本当に都心部で通用するのかどうかをチャレンジして確かめたい。そういう想いは強くあります。

他にも理由が?

都心部で我々のブランドを運営することにプラス、進出することで、優秀な人材との出会いは期待していますね。これまではどうしても茨城県の固まったエリアでしかビジネスをしていないので、これからは東京を中心にあらゆる人材を集める機会がやってくるだろうと考えます。

それと、これは理由らしい理由にならないかもしれませんが、「東京でビジネスを成功させてなんぼ」という気持ちがあるんです。自分でも活動するのが茨城だけではつまらないので。そこはもう、東京というか、都心部に乗り込んで行って、我々の事業を大きなものにしたい。

実行されるのはいつ頃?

今までの事業展開もそうだったし、これからの東京進出、東南アジア進出もそう。出店に関しては、いつになったら動くというより、もうやりたいことが決まっているので、縁が繋がったら、その段階で瞬間的に動き始めることになるでしょう。以前、我々の手で結婚式をやりたいと考えていた時期、龍ケ崎市にある結婚式場のアルシェをM&Aしたのもそうだった。これは極論ですが、明日、都心で最高の物件が見つかったり、有力なM&Aの情報が入ったら、年内に進出が実現する可能性もあるわけで。

ただ、実際のところ、都心部進出に関しては、自分の中でGOサインを出せる準備が整って動き出すという段階ではありません。スタッフ教育や資金調達の部分もありますから。今年はウェディングレストラン『アレーズ』と『バウム』の立ち上げもあるので、来年ぐらいに照準を合わせた動きが出てくるかなとは思います。東南アジアに関しては、今年あるいは来年に拠点づくりを考えている段階です。